日本輸血・細胞治療学会

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認定基準

平成26年7月
日本輸血・細胞治療学会I&A委員会


認定基準(第4版)


認定とは、施設が「安全な輸血」を実施するためにプログラムのさまざまな必要条件を「満たしている」と承認することで、 病院のランク付けを目的とするものではない。現時点でどのような医療機関でも輸血療法を行う限り少なくてとも整備しなければならない下記の項目を認定基準とし、 この基準を満たしていれば認定するものとする。

1.輸血管理体制


  1. 最新の「輸血療法の実施に関する指針」「血液製剤の使用指針」に準拠し、輸血医療の質を高め維持していくための管理体制を構築していること。 輸血療法委員会(または同様の機能を有する委員会)が存在し、定期的に開催されて(年6回以上)活動していること。 また、委員会の活動が把握できるような議事録が保存されていること。 血液製剤の適正使用推進の方法を検討し、定期的に改善状況を検証していること。 院内監査の機能を有する監査委員会(または同様の機能を有する委員会)を設置し、 輸血を実施している部署に対して定期的に(年2回以上)監査が実施されていること。 また医療安全ラウンドなどをしている施設で、チェック項目に輸血療法に関する内容を含んでいれば監査を実施しているとして認める。
  2. 責任医師の任命
    病院内における輸血業務全般について実務上の監督および責任を持つ責任医師 (輸血認定医が望ましい)が任命されていることが必須であり、できれば専任が望ましい。
  3. 輸血部門の設置
    輸血に関する検査と輸血用血液の保管管理を一括して行う輸血部門あるいは一元管理が可能な部門 (実質的に輸血業務全般を一括して責任をもって執り行なえる部門)が設置されていること。
  4. 輸血専任技師の任命と検査技師による24時間体制
    1. 輸血専任技師(認定輸血検査技師が望ましい)が任命されていること。
    2. 輸血業務の24時間体制が構築されていること。
    3. 輸血専任技師による日当直体制が望ましいが、それが困難な場合や施設の事情により、他の検査技師により輸血検査が行われている、あるいはオンコール体制でも可とするが、日当直時のバックアップ体制も決められていること。
  5. インフォームドコンセント(IC)
    全ての患者に対して輸血療法に関する(血漿分画製剤使用も含む)説明と同意がなされていること。輸血部門でも確認できるシステムが構築されていて、常に輸血部門で確認されていること。電子カルテシステムが導入されている場合は、輸血部門での現物確認が困難な時でも、輸血部門および担当診療科における輸血実施の際に確認できるシステムを構築されていること。 輸血拒否患者については、施設内での意思と手順が決定され文書化されていること。
  6. 輸血拒否患者については、施設内での意思と手順が決定され文書化されていること。
  7. 記録類の保管
    輸血に関する記録類が20年間保存される体制が構築されていること。

2.輸血用血液の搬入、搬出


輸血用血液の搬入時には外観上の異常や血液バッグ破損の有無についても確認されていていること。 外観検査は輸血部門から搬出する時にも確認されていること。 施設内で、これらのチェック事項が明文化されていること。


3.輸血用血液の保管管理


  1. 輸血用血液の保管は輸血部門に限定し、一般病棟では保管されていないこと。
  2. 手術室、ICUでやむを得ず保管する場合は、輸血部門で管理するか輸血部門と同様の管理体制(下記の3のような)が確保されていること。
  3. 輸血用血液の専用保冷庫は、自記温度記録計付き、警報装置付きで、自家発電電源に接続され、異常時には連絡がいく(輸血部門、当直室、警備部門等に)体制が確立されていること。保冷庫の点検が実施されていて、その記録が残されていること。

4.適合検査


  1. ABO血液型検査、Rh0(D)抗原検査、不規則抗体スクリーニング、交差適合試験の文書化された手順書 (通常時と緊急時における検査について)が整備され、手順書に基づいて検査が行われていること。 また、ABO血液型検査、Rh0(D)抗原検査は異なる時点で採血した検体を用いて2回実施され、決定されていること。
  2. ABO血液型は必ずオモテ試験とウラ試験を行い決定し記録されていること。
  3. ABO血液型検査、Rh0(D)抗原検査、不規則抗体スクリーニング、交差適合試験の報告は、必ず文書あるいは文書(電子)ファイルで行われていること。
  4. 交差適合試験用の検体は血液型検査とは異なる時点で採血されていること。
  5. 検査用試薬および検査用機器の精度管理の方法が文書化された手順書に従って、精度管理、検査用機器の定期点検や保守管理が定期的に行われていて記録されていること。
  6. コンピュータクロスマッチを行う時は、手順書を整備し、結果の不一致や製剤の選択が誤っている場合に警告を発すること、患者の血液型が2回以上異なる検体により確認されていること、赤血球製剤の血液型が再確認されていることが完全に満たされていること。

5.病棟および手術室における輸血実施


  1. 輸血療法の安全性を徹底するために、施設での輸血手順書が整備されていること。 また、ベッドサイドでのPDA、ノート端末を用いての電子照合システムが導入されている場合は、医師または看護師と電子照合システムとの照合で可とする。電子照合システムがない場合は、医師または看護師2名以上で照合がされていること。
  2. 輸血開始後の患者状態観察の重要性を認識し、これを安全に実施する手順が確立され、記録されていること。

6.副作用の管理


  1. 輸血副作用の報告システムが文書化され(輸血手順書に記載されていれば可)、副作用の発生状況が記録されていること。
  2. 重篤な副作用が発生した場合に迅速に対応するための手順書が現場に整備されていること。

7.自己血輸血


  1. 術前貯血式液状保存が積極的に行なわれて、輸血部門で主体的に一括管理されていること。
  2. 採血や保存が日本赤十字社血液センターに委託されている場合も自己血輸血の一連の業務に関する文書化された手順書があること。
  3. 自己血のラベルは患者によって自署されていること。やむを得ず自署できない場合は代用方法が構築されていること。適切な皮膚消毒が行われ、チューブシーラーが使用されていること。
  4. 採血は採血技術に熟練した医師または看護師(学会認定・自己血輸血看護師が望ましい)が行うこと。
  5. VVRなどの救急時の対応策が講じられていること。
  6. 採血された自己血は輸血部門の自己血専用保冷庫で保管すること。やむを得ず他の輸血用血液と同一の専用保冷庫で保管する場合は、明確に区別されていること。
  7. ウイルス感染者の自己血は専用保冷庫に保管するのが原則であるが、やむを得ず非感染者の自己血と同一の保冷庫で保管する場合は、明確に区別されていること。

8.院内同種血


院内同種血採血をやむを得ず行う場合は、適応基準と手順が文書化されていること。