日本輸血・細胞治療学会

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血液型について

私たちの血液には、非常に多くの血液型があります。なかでも、ABO血液型とRh血液型は輸血をするうえで極めて重要な血液型となります。また、移植や効果的な血小板輸血のために、白血球型(HLA)も重要になることがあります。


ABO血液型


明治33年(1900年)、オーストリアのカール・ランドシュタイナーは、ある人の血清に他人の赤血球を混ぜると、凝集する場合としない場合があることを発見しました。これが今日でいうABO血液型であり、現代輸血の出発点になった発見であるといわれています。

赤血球の表面にある血液型の物質を“抗原”とよび、血清の中にある赤血球と反応する物質を“抗体”とよびます。ABO血液型では、赤血球(抗原)の検査と血清(抗体)の検査を行って、血液型をA型、B型、O型、AB型の4種類に分類します。赤血球上にA型はA抗原、B型はB抗原、AB型はA抗原とB抗原がありますが、O型にはどちらの抗原もありません。一方、血清中にA型は抗B、B型は抗A、O型は抗Aと抗Bの抗体を持ちますが、AB型はどちらの抗体も持ちません(表1)。

こうした抗原と抗体の組合せから、たとえばA型の患者さんにB型の赤血球を輸血すると、A型の患者さんが持つ抗Bが輸血した赤血球のB抗原を攻撃(赤血球を破壊)して、重い副作用が起こります。したがって、輸血は同じABO血液型で行うことが大原則となります。


表1 ABO血液型の分類

ABO血液型 赤血球(抗原) 血清(抗体) 日本人の頻度
A型 A抗原 抗B 40%
B型 B抗原 抗A 20%
O型 なし 抗Aと抗B 30%
AB型 A抗原とB抗原 なし 10%

Rh血液


昭和14年(1939年)レビーンとステップセンは、人の赤血球に対する凝集素から新たな血液型を発見しました。昭和15年(1940年)、ランドシュタイナーとその弟子ウィーナーは、人の赤血球にアカゲザル(Rhesus)と共通の血液型があることを発見し、Rh血液型と命名しました。しかし、後に、これらは別の血液型であることがわかり、レビーンとステップセンが発見した血液型をRh血液型、ランドシュタイナーとウィーナーが発見した血液型をLW血液型として整理がされました。

Rh血液型には数多くの抗原がありますが、D抗原がある場合をRh陽性(Rhプラス)、D抗原がない場合をRh陰性(Rhマイナス)と呼びます。

Rh血液型も輸血をするうえで非常に重要な血液型であり、ABO血液型と同様に同じRh血液型で輸血を行うことが大原則となります。なお、日本人のRhマイナスの頻度は0.5%と低いですが、白人では15%と人種により大きな違いがあります。


まれな血液型


まれな血液型とは、その頻度が概ね1%以下の血液型をいい、多くの種類があります。輸血を必要としている患者さんがまれな血液型で、しかもその抗体を持っている時は、同じまれな血液型の血液が必要になります。こうした場合に備えて、日本赤十字社では、まれな血液型の血液を冷凍保存したり、まれな血液型の献血者に登録のお願いをしています。


HLA型


赤血球にABO血液型やRh血液型があるように、白血球にもHLA型(Human Leukocyte Antigen)という血液型があります。HLA型は主要組織適合性抗原ともいわれており、移植の際に重要な抗原となることがあります。また、HLA型は血小板上にもあるため、患者さんとHLA型が適合した血小板を用いて、効果的な血小板輸血を行うことがあります。