日本輸血・細胞治療学会

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理事長挨拶

一般社団法人日本輸血・細胞治療学会 理事長 松下 正
 日本輸血・細胞治療学会は、日本輸血学会(1954年設立)時代から今年で65周年を迎えます。会員数は2019年5月現在、ついに6,000人を突破いたしました。本学会の特徴は医師以外の会員が約4,000人と領域・職域横断的な学会であることです。輸血はそれ自体他に代替方法のない治療手段として発展し、本学会の先輩たちの安全性確立への努力を経て現在の安全な輸血療法が確立されています。しかしながら血液型がLandsteinerにより発見されてから120年が経とうとする今においても、輸血医療には依然として多くの課題が横たわっています。本学会はこれまで、血液成分・製剤の細胞学的、免疫学的検討から、輸血療法の臨床的研究を基礎に、血液製剤の適正な使用の指針を国内に示すに至りました。近年急激に発展しつつある細胞療法(主に造血幹細胞移植)においては、血液細胞の採取、処理、保存、払い出し、輸注のすべての工程において安全で適正な医療行為の策定を目指しています。学会の果たす使命と理事会の責務は、学術的な機能はもとより、「患者にとって安全な輸血・細胞治療とはなにか?」を追い求めることに他なりません。日本輸血・細胞治療学会はこのことを基本として社会に対する貢献を目指してまいります。

 輸血・細胞療法は、対症療法・補助療法として発達してきたため、単なる使用者の経験に基づく不適切な使用がしばしば行われてきたことが問題でした。しかし医師の指示する血液製剤の選択とその使用方法のみならず、看護師が実施する輸血療法、臨床検査技師が行う検査においても近年多くの科学的根拠(エビデンス、EBM)が報告され、このような科学的根拠に基づいて輸血医療の指針を正しい方向に導くことは重要なことであり、本学会にしかできないミッションであります。「副作用が発生することを前提とした」医薬品である血液製剤が本来的に有するリスクを認識し、より適正な使用を推進するべく、本学会ではサイエンスとしての輸血学の発展においてこのことを最も重視し、学際的研究やその支援に多くのリソースを注いでいきたいと考えております。

 医療機関の日常診療における輸血・細胞療法を安全に行える体制の構築にはチーム医療の推進が欠かせません。職域横断的な専門家集団である本学会は、今後輸血・細胞療法の一定以上のレベルの医療人の教育、能力の向上により深く関わり、医療機関における良質な輸血医療を展開する指導力を備えた輸血チーム医療の普及にむけ、関連する学会・団体・組織と密な協力関係のもと、活動してまいります。

 学会の運営は理事会のみによって行われるのではなく、会員すべての皆様の手によってより良い方向に進んでいくべきものです。有効なコミュニケーションのもと、本学会の運営に携わって参りたいと考えております。今後とも、当学会の活動に対し、会員皆様のご協力と関係者のご理解をお願い申し上げます。

令和元年6月
一般社団法人日本輸血・細胞治療学会 理事長
松下 正